【アメリカンフットボール部】 特別企画/鳥内秀晃監督インタビュー「大学スポーツ指導のあり方」

<写真・大学スポーツ指導のあり方について語った鳥内監督>

 

   日大戦でのタックル問題から1カ月。関西学院大学アメリカンフットボール部の鳥内監督に改めて大学スポーツのあり方、指導法について語っていただいた。

 

—5月6日の日大との定期戦で起きた日大選手の悪質なタックルを見た印象は。

 あれは次の日に見たねん。「え?」っと思った。パーソナルファウルが起こったことは知っていたけど、こんなことが起こっていたんやと。世間では、あれを何で一発退場にせんかったんやと言われているけど、退場になっていても抗議してたな。とにかくありえへんと。やから原因究明は必要。あれはおかしい。異常や。3プレー目は、よくあることやけど、あの時は「また91番か」って思ったな。その選手に指を指して「退場や」と主審にアピールした。まぁ、とにかく1プレー目はありえへん。監督を長いことしてるけど、あんなことがあったのは初めて。

 

—5月26日の会見で、あのタックルのことをよく考えると話しておられましたがどのようなことを。

 「なんでそんなことが起こるねん」という疑問がまず湧いた。普通の選手がするはずがないと。何が起きたんやと。指示であれば、何が起きたんやろと考えた。あれはありえない。犯罪行為やからね。一歩間違えれば、下半身不随になっている。一生を棒に振るような事故が起きていた。

 

—今回の件でスポーツの安全性に関することが話題になりましたが、鳥内監督の指導者としての安全に対する考え方を教えてください。

 「安全にやれ、汚いことはするな」と常々言っている。今は、脳震盪(のうしんとう)に対しても、対応が問われている時代。脳震盪になったら大事な試合であっても使わない。そのために、交代選手がいるわけで。力の差があると分かっていても、脳震盪になった選手を使う気はない。部員20人のチームじゃなくて、関学は部員100何人と恵まれていて、交代要員もいる。だからこそ、日頃から準備をしなさいと話している。

 

—指導法についても取り上げられましたが、関学はどのような指導をされていますか。

 ちょうど面談が終わったところ。毎年、4年生は1月末から。2月半ばから2、3年生。4月末から1年生。そんな日程で、部員全員と面談を行っている。「何をやりたいのか」、「それぞれの学年でどう貢献するのか」を確認する。口だけでは、なんぼでも言えるけど、計画して目標達成のために努力せんと成長はない。関学は日本一になるチャンスがあるのに、なんで真剣に目指さんのか。選手として貢献するのか、裏方としてやるのかも含めて考えさせている。

 

—今の時代は指導も難しい時代に入っていると言われますが、時代とともにどのように指導を変えていらっしゃいますか。

 育ってる環境が違うし、現代の子たちは親や先生に怒られていない。何をやりたいのか確認するだけ。それをやりなさいと伝えている。ルールを守らんかったらそら怒るで。下手やったらうまくなるためにやりなさいと。努力せんかっても、もちろん怒るけどな。一生懸命やってへんのも怒るで。事故につながってしまうから。怒る時は限られている。

 

—監督自身、選手を褒めることはありますか。

 1年生のちょっとくらいまでかな。褒められて育つとかあるけど、俺の顔色を見ても仕方がない。フットボールは、どのゲームでどんなことをやるのか。そのゲームで、どう成功させるのか。そのために練習する。子どもじゃないから、やるのは当たり前やねん。褒めてやること自体、営業で言えば、アメとムチ作戦。小野(ディレクター)も言うてたけど、モチベーションいうのは内面から出てくる。「これ好きやねん」となれば自分のものにする。一番強いのは、報償はいりません、これを完璧にしたいと思ってやるのがいい。内在的動機づけやな。どこまで自分を犠牲にして、しんどいことも楽しいと思ってやれるか。この状態になると強い。アメとムチで100点取ったら物あげるよ。それよりも、子どものゲームへの集中力はすごい。1時間や2時間ずっと画面と向き合う。好きやからや。これをフットボールに置き換えると、すごい。そこまでになれば、本物やな。

 

—社会問題化し、アメフットが危険なスポーツと捉えている方もいらっしゃいます。改めて、アメフットの魅力はどのように考えていらっしゃいますか。

 ストロングポイントやウィークポイントを見比べて、準備するスポーツやな。1プレー1プレーで勝敗が分かれる。予想と違うことも起きるし、危機管理能力が求められる。ポジションごとの危機管理も必要やし、コミュニケーションも取らなあかん。教えてもらってないからできないではだめ。人間教育の上ではいいツールやと思う。奥深くて、底なし沼やね。あとは、チーム同士の駆け引きと個人の駆け引き。第3ダウン、第4ダウンの駆け引きが一番面白い。その時に「失敗したら」、と思った時点で負ける。ワクワクする場面で成功するかどうかが、おもろい。おもろいけど、個々人で奥深くまでのめり込まないとミッションは成功しない。(のめり込む人が)たくさん出てきたら、強いチームになる。やらされていたら、絶対にあかん。強いチームに勝とうと思ったら苦しい。どれだけ苦しみを楽しいと思えるか。最後は勝負が楽しいと思うことができたら強くなる。相手より強くなろうと思うことは苦しいねん。最後の勝負はどっちやと。境地に達した時におもろいゲームができるし、勝つ確率が高まる。

 

—最後に今後、関学はどのようなプレーをしていきますか。

 今まで通りやればいい。指導者にとっても改めて、ルールに則ってやることが確認できた。選手も我々も。その上で、堂々と勝つ、堂々と負ける。

 

 

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