【馬術部】 集大成。6位づくめの全日学

 10月31日から11月4日にかけて東京馬事公苑にて行われた全日本学生馬術三大大会。関学は馬場で松田(社1)が初出場ながらも6位に。総合でエース・熊倉(経4)が個人6位、団体が6位入賞を果たした。 3種目の総合成績7位と関学馬術部の底力を見せた今大会。これで引退となる選手たちの顔には満面の笑みが浮かんだ。
○全日本学生賞典障害飛越競技
 初日に行なわれた障害馬術競技・一走。豪快かつ華麗に障害を飛越する全国の学生馬術界の人馬たちが名を連ねた。そんななか、今年の春学で関西制覇を成し遂げたエース・熊倉健司(経4)が関学一番手として乗馬・月緑とともに先陣を切る。しかし障害落下が二本、減点8という内容に終わる。鞍を降りた後「完全に乗り手のミス」ともらした。続く西脇万美子(社2)&月母衣(ホロ)は減点24の走行。そして三番手の尾崎功章(法4)&月雅の番でアクシデントが起こる。終盤の障害でバランスを崩し落馬、その際に頭から地面にたたきつけられてしまったのだ。幸い大怪我には至らなかったが周囲には安否を心配する声もあがった。最後は主将・松尾孝司(経4)&月翼が減点16で完走し「明日は頑張るよ」とコメントを残した。
 2日目は障害馬術競技・二走。前日の一走との合計成績で結果が決まる。検査入院となった尾崎は二走を棄権し、三人のみとなった関学。西脇は減点20、松尾は減点12で完走する。この二組が減点数を昨日よりも減らして走行したことがチームにとって大きな意味を持っていた。「総合成績でこれがからんできたら(結果を左右するかも)。まだ見せ場ある」。主将はこう語った。そして最後の熊倉は減点8で終える。月緑はかつての全日学優勝馬とあって満点走行はできるベテラン馬。「良い状態に作っていくことができなかった」と悔しさをにじませる。けれどもこの一年間の安定感を振り返れば、彼のなかに昨年のような絶望に近い感情は無かった。「惜しいけど、それが実力」―。そう言い残し、成績23位で全日学の障害馬術を終えた。
【障害・結果】 熊倉&月緑…23位 西脇&月母衣…36位 松尾&月翼…29位 
○全日本学生賞典馬場馬術競技
 3日目に行なわれた馬場馬術競技。そこには望んでいた〝夢〟舞台にたどり着いた女性の姿があった。松田有加(社1)&月夢-、夏学で見事優勝を果たし自ら全日学への切符をつかんだ。その彼女は予選(St.G賞典)では目立ったミスもなく演技をこなす。さすがに緊張あってか「自身なかった」と語るも、いざ得点率が発表されると「もっと出るかなと思ってた」との感想。関東のジャッジの厳しさを感じると同時に、自らの演技への自信をのぞかせた。その得点率57.6%で翌日の決勝へと駒を進めた。またこの日関学から出場した古峨淳明(社2)&月皚(シロ)は思うように力が出せず、得点率51.3%で26位に終わった。
 翌日の決勝(自由演技)は予選を勝ち上がった10組の人馬で争われる。どれも高い演技力を兼ねそろえた実力ある人馬である。そしてむかえた本番。「5番、松田有加-」の場内アナウンスの後、自ら選曲したBGMが馬事公苑インドア・アリーナに流れる。それは彼女が高校時代に国体優勝を飾ったときの曲を、愛馬・月夢に合ったイメージにアレンジを加えたものだった。軽快でテンポの良い音楽のなか彼女は華麗なる演技を披露する。「今年一番の演技」は芸術点で他にひけをとらない数字を出した。技術点が届かず結果6位となるも、存分にその実力と可能性を見せ付けた。思い起こせば一年前の全日学。観戦に来ていた少女は関学スポーツの取材に「夢は全日学に出て優勝することです」と照れくさそうに応えた。そして今年、念願の〝夢〟舞台にたどり着いた。けれども、ハッと気づく。そう、まだ彼女は〝夢〟を叶えていないのだ。「来年の目標は-?」。我々の問いに彼女は笑いながら応えた。「表彰台に立つことです」。意外や謙遜なコメント、これも来年への自信の表れか。
【馬場・結果】 松田&月夢…6位 古峨&月皚…26位
○全日本学生賞典総合馬術競技
 本来なら、それは無かったはずだった。〝総合の悔し涙〟から5ヶ月、これまでの功績を称えられての特別措置で関学は今大会出場の機会を得た。大会4日目、いよいよ全日学最後の種目である総合馬術競技が始まった。関学はエース・熊倉&月緑が唯一の経験者ともいえ、松尾&月翼をはじめ西脇&月汐、佐棟健太(社1)&月峰は初の東京馬事公苑での総合となる。不安視はされていた。だが、ふたを開けてみれば調教審査(馬場)を終えた時点で3位。関西9連覇王者の遺伝子がいまだ残っていることを感じさせた。
 大会最終日、朝から馬事公苑内のコースが熱気で溢れる。午前中は白熱の耐久審査(クロスカントリー)が行なわれた。調教審査の順位を活かすためには、ここでいかに減点をせずに完走できるかが鍵となる。その関学は先陣を切った熊倉が減点0走行で完走。鞍を降りた後、嬉しさをあらわにした笑顔で後続の応援に駆けつけた。続く西脇は調教審査でチームトップだったが、池に着水し減点を犯してしまう。関学自慢の総合馬・月汐だけに手痛い結果となった。3番手の佐棟はタイム減点のみで完走。最後は幻の関西総合王者・松尾がクロスカントリーに臨む。だが完走した後、彼の顔には陰りが見えた。何が起こったのか-。「あのコーナーが…」そう連呼する主将。アナウンスされるスコアは障害減点20を表している。それは松尾と月翼のペアがこの一年間で初めて犯した一反抗だった。「個人的にはこれが全て」、そしてチームにとっても大きなダメージとなる減点で耐久審査を終えた。
 残すは余力審査(障害)のみ。疲労が目に見える人馬たちが文字通り余力を絞って競技に臨む。同時にそれは、選手たちにとって全日学最後の〝乗りおさめ〟を意味していた。昨年の同競技で二反抗失権と絶望を見た熊倉が関学一番手でスタート。観客席に向かってぼそりと口を開いた後、本馬場へ向かった。それはエースの意地が雪辱を果たす運命を呼び寄せたのか。関学のエースは堂々の減点0で走行を終える。自然と生まれるガッツポーズ、総合での総減点0という結果に喝采が挙がった。二番手・西脇は減点8走行で終え、終始チームの一員として団体に貢献した。次の三番手・佐棟は二反抗、初の全日学は良しとは言えない内容に終わった。この時点である事実が判明する。団体として得点を構成するには最後の松尾が何としても帰ってくることが絶対条件になったのである。昨年と同じシチュエーション、これは主将の宿命なのか。「緊張はなかった」。それは松尾と月翼の「止まらない」信頼の表れだった。落としたバーは一本のみ、減点4でチームの元へ帰ってきた。試合後、涙する主将。嬉し涙か、いやそれもある。だが「悔し涙だよ」とこぼした。耐久審査の一反抗-悔やんでも悔やみきれないそのミスは、新月の誇る最高の人馬が犯した最初で最後の失敗。「もっとやれるチームだった」。集大成の全日学でここまで悔しさをのぞかせた彼はやはり、最後まで〝闘将〟と呼ぶにふさわしいリーダーであった。
 結果、総合馬術は熊倉が個人で6位入賞。「これ以上は望めない」。そう満足気に話した。団体では現状で出せるだけの全ての力を出し、6位入賞を飾った。
【総合・結果】 熊倉&月緑…6位 松尾&月翼…24位 西脇&月汐…40位 
 3種目の総合成績を合わせ、関学は全日学を7位で締めた。
 出場した4年生レギュラー、熊倉・松尾・尾崎は今大会で三日月マークの入った鞍上から身を降ろす。熊倉は年内に個人で出場する大会を残しているが、松尾と尾崎はこれで引退となる。「ノンセレクションのオレらでもここまでやれた」。2人はエース・熊倉とともにレギュラーとして一年間安定した結果を残し続けてきた。誰もがうなずく。今年の関学を引っ張っていたのは、まぎれもなく彼ら〝三銃士〟であった。その彼らは後輩たちにそれぞれの思いを託し、新月旗の下での競技生活を終えた。

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